キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

視覚はよみがえる

「両眼視ができないのですが、トレーニングでできるようになるでしょうか」という問い合わせがたまにあります。

私「両眼視ができないというのは、たとえば斜視がおありだったりするということですか?」
ご質問者さん「そうです」
私「その斜視というのは、内斜視ですか?」
ご質問者さん「はい」

そういうやりとりのあるかたは、たいていこの本を読まれています。

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乳児期に内斜視を発症し、立体視が損なわれた神経生物学者のスーザンさんが、成人してからオプトメトリストのもとでビジョントレーニングに取り組み始め、立体視を獲得した、という事例が書かれています。

「乳幼児期の視覚的感受性が高い時期に両眼視が損なわれると、立体視の獲得は困難である」といった一般論が必ずしも正しくはないということが証明された、といった主張がなされています。

私は、この事例に疑義をはさむつもりは毛頭ありません。
内斜視の両眼視機能トレーニングがどれだけ難しいかも、分かっているつもりです。
ですから、トレーニングで立体視が獲得できたということは、とてもすごいことだと思っています。

ただ、この本では、
・トレーニングを始めたときの斜視角
・獲得した立体視の精度(たとえば、遠見で20秒あるのか)
といったことが書かれていません。

視力が両眼ともに1.0であることは書かれていますが、斜視角については、3回の手術でかなり見た目のズレは減ったものの、トレーニング開始時に交代性内斜視と上下斜視が残っていて上下プリズム入りの眼鏡を装用したことまでで、具体的な数値がわからないのです。
実は、トレーニングをするにあたっては、ここが結構ポイントのような気がしています。

つまり、立体視を獲得するには両眼単一視が必要なのですが、両眼単一視を獲得するためには、斜視角は少ないほうが有利と考えるのが普通です。
もちろん、斜視角が全てではありませんが、たとえば、
・35プリズムの右内斜視で、斜視眼の矯正視力が0.5、他眼が1.0
・10プリズムの交代性内斜視で、矯正視力は両眼ともに1.0
とでは、後者のほうが両眼単一視を得られる可能性(ひいては立体視につながる可能性)は理論上は高いと思うのです。

また、深視力検査に合格できるレベルの立体視が得られたのかもわかりません。

そういう「スタートライン」や「結果」の部分がわからないのが、残念です。

この本を読まれた内斜視のあるかたは「トレーニングをすれば立体視が得られる」と思われると思いますが、「どんな内斜視の状態でも可能か」といえば、そこには限界があるように感じます。
見た目で明らかに片眼が内転していて、斜視眼の矯正視力もイマイチで、目標が深視力検査に合格することというケースで、トレーニングを勧められるかというと、正直私は二の足を踏みます。

この本を読まれて相談されてきたかたに説明をするためにも、このあたりの臨床データが知りたいです。

いずれにしても、この事例に携わったドクターとセラピストには敬意を表します。
長期にわたるトレーニングに励まれたスーザンさんの努力を讃えるのは言うまでもありません。








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  1. 2016/11/21(月) 23:31:45|
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