キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

中近両用レンズの遠点

いわゆる「老眼」になってきますと、遠くがよく見える状態では近くのものが見えにくくなります。

そのため、遠近両用レンズというのが選択肢として挙がってきます。
遠近両用と言ったとき、二重焦点レンズ・三重焦点レンズもありますが、累進レンズと呼ばれるものが今は主流です。

遠くの見える度数から、近くの見える度数までが、一枚のレンズの中で徐々に変化をしていくタイプです。

見えかたのイメージとして、こんな図が用いられたりします。
ぼやけているところは、レンズの構造上、きちんと見えないエリアです。

enkinpic.jpg
(ホヤビジョンケアカンパニーのパンフレットより)

そして、遠近両用累進レンズに比べて、遠いところの鮮明さは落ちるけれども、比較的近距離のものが見えやすいということで「中近両用」というレンズが出ています。

これは、遠くのハッキリ見える度数が正面視線よりも上方になるような度数配分をすることで、中間距離から近距離の見やすさを確保しようという考えのものです。

cyuukinpic.jpg

今日の話は、この中近両用レンズの「遠点」についてです。

遠点というのは前にネタにしましたが、ここではとりあえず、「中近レンズを通して鮮明に見える、遠くの限界の距離」ということで考えてください。(本来の遠点の定義とは違います)


遠見の完全矯正値が0.00D(度なしでOK)の人を例にとります。

この人が近くを見るときに+1.00Dが必要で(加入度1.00D)、遠近両用累進レンズを作ったとします。

通常、下図のような度数配分になります。

1502071.jpg


正面を見たときには、遠くがよく見えるように完全矯正値すなわち0.00Dが眼前に来ます。
視線を下に向けるにつれて、度数が+1.00Dへと変化をしていきます。


では、中近レンズはどうでしょうか。

遠近・中近などの累進レンズには、フィッティングポイントと呼ばれる位置があり、通常は、そこと瞳孔中心の位置とを踏まえてレンズを削ります。

ixy_20150207_01.jpg

上図中央の小さな十字(Aで示されているところ)がフィッテイングポイントです。

以下の説明では、フィッティングポイントと瞳孔中心が一致するものとします。

また、中近両用レンズの場合、メーカーや製品名によって、フィッティングポイント上にどんな度数が入るかが異なりますが、ここでは、「加入度数の37%に相当する度数が入る」ことにします。

遠見矯正値が0.00D、近見度数が+1.00(加入度1.00D)としますと、

瞳孔中心の位置=フィッティングポイントには、加入度1.00Dの37%ですから

1502072.jpg

+0.37Dが入ります。

完全矯正値よりもプラス度数よりのレンズを置くと、遠くはぼやけて見えます。

このため、真っ直ぐ前を見たときには、少しぼやけることになりますが、上目づかいで見れば(視線だけを斜め上方に移せば)遠くははっきり見えるわけです。
駅のホームに並んでいる人の顔はぼやけますが、天井からぶら下がっている表示板は見やすい、という感じです。

どの程度ぼやけるか、ということを「正面視時にどれくらい先までが鮮明に見えるか」という言葉で置き換えますと、この場合、度数の逆数に相当した距離、つまり約2.7mのものはハッキリ見えるけれども、それより先のものはぼやけるという計算になります。


次いで、遠見矯正値が0.00D、近見度数が+2.00(加入度2.00D)としますと、

1502073.jpg

フィッティングポイントの度数は、+0.74Dとなります。
この度数を通してはっきり見える限界の距離は、約1.3mです。


最後に、遠見矯正値が0.00D、近見度数が+3.00(加入度3.00D)としますと、

1502074.jpg

フィッティングポイントの度数は、+1.11Dとなります。
この度数を通してはっきり見える限界の距離は、約0.9mです。


何が言いたいかというと、同じ中近レンズでも、加入度が増えるほど(年齢が上がると)、正面視時における遠くのものは見えにくくなるということです。

たとえば、テレビが2m離れたところにあったとして、加入1.00Dだったら問題なく見えるものが、加入3.00Dになると見えにくくなってしまうのです。

中近両用は「室内用」などと言われることもありますが、加入度が増えるほど(遠くのものの見えかたの点において)室内用としては使いにくさを感じる人が増えてもおかしくありませんし、今まで中近を使っていた人が加齢のために加入度を増やして中近を新調する場合なども、注意が必要です。

このような特性を踏まえた上で、フィッティングポイントをどこに置くべきか、あるいは別のレンズをお客様にお勧めするほうがよいのか、などを判断する技量が販売員には求められます。


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