キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

Smooth vergence と Step vergence

両眼視機能検査の一環で、融像幅の測定をすることがあります。

このとき、ターレット式検眼器(通称 フォロプター)に装備されている、ロータリープリズムを使うのが一般的です。

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開散(Divergence)と

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輻湊(Convergence)とを

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調べます。
(上下方向も調べますが、ここでは割愛します。)


融像幅の測定は、このような機器がないとできないかというと、そんなことはなく、プリズムバーを利用してもできます。

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少しずつプリズムを増やしていけばよいわけです。

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プリズムバーは片眼にしかあてていませんが、神経支配の関係で、片眼に6△あてているのと、各眼に3△ずつあてるのとは、理論上は同じことになります。


では、フォロプターを使って得られる融像幅の値と、プリズムバーを使って得られる値とは、同等なのでしょうか。

フォロプターで付加されるプリズムは、滑らかに変化をしていきます。
地上から10階まで止まらずにエレベーターで上昇するような感じです。
一方、プリズムバーでのプリズム量は、各階停車のエレベーターのような感じです。

前者を「Smooth vergence」、後者を「Step vergence」と区別します。

前者に比べて後者は、プリズムが変化するときに「区切り」があるため、ほんの一瞬ですが融像が阻害されるのではないかと考えます。

そのためでしょうか、文献によると、Smoorh vergenceで得られる融像幅より、Step vergenceで得られる融像幅のほうがやや狭いです。
(Stepのほうが早く分離が起き、回復に時間がかかる。)

なお、モーガンの標準値やOEPの標準値は、Smooth vergenceで得られたものだと思います。
ですから、たとえばモーガンの標準値で視機能分析をするのなら、融像幅の測定にはフォロプターを使うのが望ましいといえるでしょう。

逆に言うと、プリズムバーの値で以って、モーガンの標準値との比較はしにくいですので、Step vergenceの標準値と比較するのが望ましいわけです。
(私はそれほど甘くないので、ここでは、その標準値は晒しません。)

プリズムバーは、フォロプターを使いにくい小児の融像幅測定に有効と言われています。
この場合は、被検者の自覚に頼るのではなく、被検者の融像が壊れたかどうかを、検者が被検者の眼の動きで判断する必要がありますが。


電動式のフォロプターは、だいぶ改善されてきていますが、プリズムの変化の仕方は完全にSmoothとは言えません。
私が、上記の手動式にこだわっているのは、そのためなのです。

ただ、電動であっても、プリズムバーよりは大幅にマシだと思うので、電動で得られた値をモーガンの標準値で分析することに難癖をつけるつもりはありません。


なお、フォロプター(電動・手動を問わず)がなく、プリズムバーもイマイチということであれば、どれも持っていない人はどうすればいいのかということになります。

手持ちのロータリープリズムというのがあるので、これを使えばSmooth vergenceを再現できますが、

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被検者の眼前に余分な動きがないように保持しておくのは意外に大変です。


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  1. 2014/12/02(火) 23:49:34|
  2. 視機能・視覚・検査など
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