キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

弱視眼の裸眼視力

遠視性不同視による弱視に対処するための治療用眼鏡処方箋を持参されるお客様がおられます。

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このケースでの治療用眼鏡の目的は、遠視の強いほうの眼の矯正視力が低下してしまっている状態のために、眼鏡装用で適切な刺激を与えることで、矯正視力を向上させよう、というのが基本です。

つまり、現時点においての弱視眼の矯正視力が0.2だとして、それを眼鏡装用によって1.0以上に向上させていこう、ということです。

その意図については、保護者もご理解をされていらっしゃるのですが、よく聞かれるのが「矯正視力が上がったら、裸眼視力もよくなりますか?」というもの。

たとえば、+6Dの遠視で、「片眼遮蔽下&非調節麻痺下」での裸眼視力が0.1だとして、それが矯正視力の向上に伴って裸眼でも1.0に近づくのか、ということです。


絶対的なことは言えませんが、裸眼視力も多少は向上するのではないかという気はします。
ただ、ここで言う裸眼視力は、あくまでも片眼遮蔽下&非調節麻痺下でのものです。

遠視というのは、遠くを見ているときにも、近くを見ているときのようなピント合わせ(調節)をすることで視力を得ます。ですから、片眼を遮蔽した状態での裸眼視力というのは、結局のところ、どれくらいピント合わせの力があるかによるところが大きいわけです。
ピント合わせをしやすいタイプであれば、視力は向上しやすいと思われます。

逆に、もし、ピント合わせができないように、調節力を麻痺させる薬を用いて裸眼視力を測ったら、遠視の度数が変わらない限りは、裸眼視力には大きな変化は出ないはずです。

仮に、+6Dも遠視があれば、矯正視力が1.0出たとしても、調節麻痺下の裸眼視力は0.1に満たないと思われます。
したがって、「調節麻痺下での裸眼視力が、矯正視力の向上に伴って上昇するか」と問われたら、その可能性は限りなく低いのではないかと考えます。


それから、
右 +1D
左 +6D
のような不同視弱視で、矯正視力の向上に伴い、左眼の裸眼視力(片眼遮蔽下&非調節麻痺下)が0.5になった場合を考えてみましょう。

このようなケースでは、両眼を開けた状態で裸眼で物を見ているとき、左眼では0.5の視力は出ていないはずです。
以前にも、お話しした通り、人間の眼は両眼視下において左右で調節力を変えることは理論上はできませんし、最低限の調節力で済むようにします。
そのため、このときは、右眼の遠視を相殺する1Dの調節でもって物を見ようとしますから、左眼では+5Dの遠視が残ったままになります。
ゆえに、左眼は0.5の視力には、到達していないと思われるわけです。


難しいことを述べてきましたが、要するに、こうしたケースで裸眼視力に一喜一憂するのは、正直なところ意味がないのではないでしょうか、ということです。

もちろん、保護者が、裸眼視力にこだわる気持ちは十分に理解できるのですが、治療用眼鏡は裸眼視力の向上が目的ではありませんし、裸眼視力にこだわり過ぎてしまうと、本質的なところを見失う可能性もあると思います。


このような、屈折異常のケースで考えてみます。

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両眼の矯正視力が低下しているため、治療用の眼鏡が処方されました。

このとき、保護者が、裸眼視力の向上にこだわり過ぎて、裸眼での視力回復トレーニング(調節力増強トレーニング)に傾倒してしまったり、矯正視力が向上すると同時に眼鏡装用を止めてしまったとしたら、どうなるでしょう。

仮に、裸眼視力(非調節麻痺下での)がそこそこ出るようになったとしても、裸眼状態では不要な調節力を強いられていることになりますので、かなりの確率で内斜位傾向(場合によっては内斜視)となり、適切な両眼視が阻害されかねません。

これでは、裸眼でいることのメリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまいます。
本末転倒です。


遠視眼の裸眼視力は、あくまでも参考程度にとどめ、矯正視力&適切な眼鏡装用が重要であるということを、ご認識いただければ幸いです。






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  1. 2013/10/07(月) 23:48:58|
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