キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

一部融像除去斜位と融像除去斜位

当ブログの中で、何回となく出てきた「一部融像除去斜位」と「融像除去斜位」についてです。

「associated phoria」の訳語として用いられているのが「一部融像除去斜位」、
「dissociated phoria」の訳語として用いられているのが「融像除去斜位」です。

ただ、どちらの単語も「英和・和英眼科辞典」には載っていませんので、我が国においては眼鏡業界で使われている用語ととらえるべきかもしれません。



まず、「融像」というのは詳しくはこちらを参照いただくとしまして、簡潔に言えば、右眼と左眼で見ているものを一つのものとして合成す、る能力です。

右眼にこれ、

1001187.jpg

左眼にこれを見せたときに

1001188.jpg

こういう風に頭の中でとらえられる能力になります。

1001181.jpg


融像が達せられるためにはいくつかの条件がありますが、

右眼にこれ

0908238.jpg

左眼にこれ

0908235.jpg

を見せたときには、その条件が満たされない(左右眼がそれぞれ全く異なるものを見ている)ため、融像ができません。

よって、このように融像が壊された状況下で測定される斜位を「融像除去斜位」と呼んでいます。
眼科で「斜位」といえば、通常はこの斜位のことを指します。


一方、「一部融像除去斜位」というのは、文字通り「一部の融像が除去された状態で測定される斜位」です。

これを測定する最も代表的な視表がこちら。

1208081.jpg

裸眼では十字に見えますが、偏光レンズを利用することで、

片眼(右眼が一般的)には縦線が、

1208083.jpg

もう片眼(左眼が一般的)には横線が、

1208082.jpg

それぞれ見える環境を作ります。


このとき、右眼では横線以外のものは見えている状態であり、左眼では縦線以外のものが見えている状態です。
つまり、縦線なり横線なりを除いては、両眼で同じものが見えているということになります。

ですから、縦線・横線以外のものは融像が可能であり、縦線と横線は融像が不可能だということです。
これが「一部融像除去」の一例だとご理解ください。

この視表において一部融像除去斜位が検出されなければ、偏光レンズ装用下でも裸眼で見ているときと同じような十字に見えますし、検出されれば、たとえばこんな感じの見えかたになったりします。

1208084.jpg



融像除去斜位の値というのは、その人が本来持っている斜位の値に限りなく近いものだと考えてよいでしょう。
ただ、その測定環境というのは非日常的です。
右眼と左眼で全く異なるものを見るようなことは、通常はありませんよね。

一方、一部融像除去斜位というのは、限りなく日常視に近い環境下で測定される斜位と言えましょう。


ちなみに、融像除去斜位の値がゼロなのに、一部融像除去斜位は測定される、ということは普通はありません。
その逆はあり得ます。

ですので、一部融像除去斜位が測定されなかったからといって「斜位はありませんね」と判断するのは正しくありません。


どちらの斜位も、視機能の状態を把握し、眼鏡処方をしていく上での目安として用いられるものですが、両者にどのような違いがあるのかということを理解しておくことが大切だと思います。


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  1. 2012/08/08(水) 23:46:27|
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