キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

強めのプリズムレンズの加工

先日は、度なしで片眼8プリズムB.O.ずつのメガネの話をしました。

今回調製したのは

R: S-3.75 C-0.75 AX175 7△B.I. 3.5△B.U.
L: S-3.50 C-1.00 AX180 7△B.I. 3.5△B.D.

でした。

こういう場合、プリズム量を決める作業はもちろんですが、そのあとのフレーム選びや加工も気を遣います。

屈折率1.70のプラスチック外面非球面レンズを使用します。

わかりにくいですが、レンズの厚みが大きく異なります。

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加工機でレンズを削る際、レンズを左右のバーで抑えるのですが、このような直角三角形に似た形状のレンズを抑えようとすると、

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抑える部分の圧力がレンズ面に均等にかかりにくくなってしまうため、削っている間に微妙にレンズがずれてしまうリスクが高くなります。
今回はプラスチックレンズですが、ガラスレンズの場合は、特に要注意です。

レンズがずれてしまうと、形がおかしくなってしまったり、乱視軸やプリズムの基底方向が指定した数値と変わってしまいます。
そのため、まず大まかにレンズを一回削り、もう一度中心の位置を決め直して、仕上げの削りをするという、2段階の加工をしたほうが安心です。
(それでも、ずれるときはずれます)

1回目の削り終わり。
黒い線が、削る目安です。

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もう少し削りたいところですが、耳側のほうが削れてしまっているので、これ以上は無理をしません。


さて、今回のような、ある程度の量のプリズムになると、納品されてくるレンズ度数の精度が若干甘くなります。
注文する段階で、メーカーさんから「その点、ご了承ください」と言われます。
無論、実害のないレベルの誤差ですが、そこはやむを得ません。

また、今回のように水平・上下のプリズムですと、レンズを削る際にレンズに貼り付ける器具を吸着させる際にも問題が出ます。

通常は、このように太い線と細い線が重なっていまして、真ん中の小さな丸のところに光学中心がくるように、且つ、その水平線上にレンズの水平基準位置がくるようにレンズをセットして吸着します。

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しかし、プリズム量が大きいため、この線がずれて見えます。
これは、強度乱視で、乱視軸が斜め方向の場合にも起こります。

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ずれて見えている小さな丸に光学中心を合わせれば済むのなら簡単ですが、それでは不十分です。
どこを狙えばいいかの微妙なさじ加減は、経験が頼りになります。

吸着した器具の中央に、光学中心位置を示す黒いしるしが来ていることが、狙い通りか否かの目安になります。

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玉型形状や瞳孔中心間距離の兼ね合いによっては、この確認方法が取れないことがあります。
そういうときは、それこそ、仕上がってみないとわからない、という状態になります。

ですので、納品されてくるレンズの精度同様、加工の精度も若干甘くなってしまいます。
どの程度の加工誤差までを許容するかは、ケースバイケースです。

ということで、仕上げの削り行程に入ります。

今回は鼻側と耳側の厚みの差が大きくなります。
フレームのカーブとレンズのヤゲンカーブをなるべく合うように調整したいのですが、

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レンズ形状の関係で、あまり融通が利きません。

なので、フレームを選ぶ際には、レンズのヤゲンカーブを想定した上で、必要に応じてフレームカーブの調整ができるものを選ばないと、レンズをフレームにはめるときに難儀します。

また、鼻側の厚みが大きくなりますので、

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クリングス(鼻パッドを支える針金状の部分)の形状によっては、クリングスとレンズのコバとが干渉しあうため、レンズ鼻側を大きく面取りする(見栄えが悪くなる)必要があります。

今回はアセテート枠を選ばれたので、その点の心配はありませんでした。

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加工上の留意点は店の担当者の問題ですが、フレーム選びはお客様の好みも関係してきます。
上記のような理由により、仕上がりの状態を考慮してフレームをおすすめする場合がありますことを、あらかじめご了承ください。





  1. 2017/02/13(月) 23:55:23|
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