キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

フレネル併用

複視を解消するために、片眼11プリズムB.O.ずつ(合計22プリズムB.O.)のメガネを調製することになりました。
(当店に来るまでに、当然ですが、眼科・脳外科の診察は受けられています。)

プリズム量が大きい場合、どこまでメガネレンズに組み込むか(組み込めるか)が懸案事項になります。
今回は、度数自体はほぼ平面ですが、耳側の厚みが出ます。
ウスカル枠にすれば厚みは減らせますが、レンズ面積は大きいほうがいいということで、一般的なフレームになりました。

多分、片眼10プリズムくらいまでなら、作ってもらえそうな感じはしましたが、8プリズムで注文し、不足分を3プリズムのフレネルで補うことにしました。

根拠は、複視の解消だけでなく、装用感までを考えたときに、合計18~20プリズムくらいでも大丈夫そうな感触があったからです。
合計16プリズムをベースにして、フレネルで調整するという方向性です。

フレネルはプリズム量が強くなるほど、透明感が落ちますが、片眼3プリズム程度なら、そこまで視力の低下を招きません。
(仮枠タイプのフレネルがあるので、それを試して、お客様の同意を得ています)

片眼8プリズムB.O.の厚み↓

1702082.jpg

そこにフレネルを貼り付けました。

1702081.jpg
(1枚のフレネルで両眼に貼り付けられる玉型サイズを選びました。費用が1枚分で済むので。)

これで納品したところ、複視はなく、歩行も問題ないけれど、何となく違和感があるとおっしゃいます。

いきなり別の世界に足を踏み入れたようなものですから無理もないのですが、試しに右眼(非斜視眼)のフレネルを剥がすと、「このほうが違和感がなく、プリズム量は減っても複視は現れない」とのことでした。

このあたりの判断は賛否あるかと思いますが、装用感を優先し、都合19プリズムにて、ひとまず納品となりました。

日によって複視の程度が異なったり、日数の経過によっても変化が起きる可能性はあり得ますから、引き続きのフォローは必要ですが、お役に立てることを願っています。


  1. 2017/02/08(水) 23:53:42|
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遠慮なく尋ねられたほうが

以前、「白内障の手術をしたほうがいいと言われているのですが、どう思いますか?」と質問を受けることがある、という話をアップしました。

ご本人の不自由度はともかくとして、白内障の進行具合からドクターが手術を勧めているケースです。
言い換えると、ご本人はそれほど困っていないパターンです。


一方で、こんなパターンもあります。

見えにくさを訴えられて、メガネでの対処を希望されているかた。
白内障と診断されており、定期的に眼科を受診しているような場合。

当店で度数測定をするも、ご本人の満足いく視力が得られない、ということはよくあります。
以前の測定記録があって、そのときは矯正視力が1.0程度あったのに、今は0.6~0.7程度にしかならない、などという場合は眼疾患を疑うのがセオリーですし、すでに白内障があることをおっしゃられています。

「先生から、白内障の手術の話は出ませんか?」
とお尋ねすると、
「いえ、何も言われていません」
とおっしゃる。

ですが、これでは「ドクターが手術の必要はない、と言っている」とは言い切れませんよね。

「見えにくくて困っているとか、もう少し見えるようになりませんか、とか、お尋ねされてます?」
と、お伺いすると
「いえ、ただ診てもらって、前と変わりませんね、みたいな感じで終わりです」
とおっしゃる。

状況が前回の診察時と変化なく、患者さんからも特に何も訴えがなければ、それで終わってしまっても不思議ではないのかなと思います。

ですが、このかたは、「見えにくさ」を感じて当店に来ているわけです。
しかも、屈折異常の矯正では、十分な効果が得られないわけです。

原因は白内障だけとは限らないかもしれませんが、こういうときは
「見えにくくて不自由を感じるようになってきたのですが」
など、「今、困っているんです」ということをドクターに伝えたほうがいいと思います。

そういう訴えを聞くことで、(白内障が原因と考えられるのであれば)ドクターの指針では「まだ手術はしなくてもいいのでは」という範疇であったとしても、「それでしたら、手術を検討してみましょうか」という話になるかもしれません。

あるいは、他の眼疾患も併発していて、白内障の手術をしても、十分な効果が見込めない、といった所見を聞かされるかもしれません。

何も言わないと「それでいいのだ」となってしまう可能性があり得ますので、疑問点は遠慮なく、ドクターにお尋ねされるのがいいと思います。









  1. 2017/01/31(火) 23:50:42|
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うまくいかないこともあります

「複視」を主訴として来店されるお客様の中には、その複視の原因が脳梗塞等の脳疾患後遺症によることがあります。
そうした場合、眼球の可動範囲に制限がかかってしまうことがあります。

たとえば、右眼が内転しない、つまり左を見ようとしたときに左眼は目標物に視線が送れるけれど、右眼は内転させられない(左方視できない)ために、目標物に対して視線がずれてしまう。
そうすると、右眼と左眼で視線がずれますので、左を見たときに複視になります。

正面視している時点で複視があり、左右・上下・斜めいずれかの方向の眼球運動に制限がかかってしまえば、視方向によって複視が増大することにもなります。

方向によって眼球運動に制限がある=方向によって複視の程度が変わる場合、いわゆる「プリズムレンズ」で完璧に対応することは難しいです。
必要な方向に必要な量だけプリズム量を滑らかに変化させられる(レンズの位置によってプリズム量が変化する)ようなレンズがありませんので。

なので、正面視のみ複視を解消する、フレネルプリズムをレンズの一部に貼って特定の方向の複視を極力減らす等、できる範囲で対応することになります。

正面視の複視は解消できても、左右に動くモノを目で追うと気持ち悪くなってしまい使用に耐えない、といったこともあり得ます。

最終的にはオクルージョンレンズや遮蔽膜の使用ということになりますが、それはそれで片眼がふさがれてしまって具合が悪い、という感想になることもあります。

この辺は「やってみなければわからない」ところになりますので、せっかくご来店いただいても、結果として「ごめんなさい」となることはあります。

その点、あらかじめお含みおきください。








  1. 2017/01/21(土) 23:49:14|
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視覚はよみがえる

「両眼視ができないのですが、トレーニングでできるようになるでしょうか」という問い合わせがたまにあります。

私「両眼視ができないというのは、たとえば斜視がおありだったりするということですか?」
ご質問者さん「そうです」
私「その斜視というのは、内斜視ですか?」
ご質問者さん「はい」

そういうやりとりのあるかたは、たいていこの本を読まれています。

1611211.jpg

乳児期に内斜視を発症し、立体視が損なわれた神経生物学者のスーザンさんが、成人してからオプトメトリストのもとでビジョントレーニングに取り組み始め、立体視を獲得した、という事例が書かれています。

「乳幼児期の視覚的感受性が高い時期に両眼視が損なわれると、立体視の獲得は困難である」といった一般論が必ずしも正しくはないということが証明された、といった主張がなされています。

私は、この事例に疑義をはさむつもりは毛頭ありません。
内斜視の両眼視機能トレーニングがどれだけ難しいかも、分かっているつもりです。
ですから、トレーニングで立体視が獲得できたということは、とてもすごいことだと思っています。

ただ、この本では、
・トレーニングを始めたときの斜視角
・獲得した立体視の精度(たとえば、遠見で20秒あるのか)
といったことが書かれていません。

視力が両眼ともに1.0であることは書かれていますが、斜視角については、3回の手術でかなり見た目のズレは減ったものの、トレーニング開始時に交代性内斜視と上下斜視が残っていて上下プリズム入りの眼鏡を装用したことまでで、具体的な数値がわからないのです。
実は、トレーニングをするにあたっては、ここが結構ポイントのような気がしています。

つまり、立体視を獲得するには両眼単一視が必要なのですが、両眼単一視を獲得するためには、斜視角は少ないほうが有利と考えるのが普通です。
もちろん、斜視角が全てではありませんが、たとえば、
・35プリズムの右内斜視で、斜視眼の矯正視力が0.5、他眼が1.0
・10プリズムの交代性内斜視で、矯正視力は両眼ともに1.0
とでは、後者のほうが両眼単一視を得られる可能性(ひいては立体視につながる可能性)は理論上は高いと思うのです。

また、深視力検査に合格できるレベルの立体視が得られたのかもわかりません。

そういう「スタートライン」や「結果」の部分がわからないのが、残念です。

この本を読まれた内斜視のあるかたは「トレーニングをすれば立体視が得られる」と思われると思いますが、「どんな内斜視の状態でも可能か」といえば、そこには限界があるように感じます。
見た目で明らかに片眼が内転していて、斜視眼の矯正視力もイマイチで、目標が深視力検査に合格することというケースで、トレーニングを勧められるかというと、正直私は二の足を踏みます。

この本を読まれて相談されてきたかたに説明をするためにも、このあたりの臨床データが知りたいです。

いずれにしても、この事例に携わったドクターとセラピストには敬意を表します。
長期にわたるトレーニングに励まれたスーザンさんの努力を讃えるのは言うまでもありません。








  1. 2016/11/21(月) 23:31:45|
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LEDが辛い

当店のお客様で、LEDが苦手なかたがいらっしゃいます。
細かくいうと、LEDを照明として使われている室内にいるのが辛い、ということです。

原因は、LEDのフリッカー(ちらつき)です。

1611021.jpg
参考: キクチ眼鏡専門学校テキスト 『視覚生理学Ⅰ 4th edition』

多くのLEDは、とても短い間隔で、点いたり消えたりしています。
その間隔(周波数)がとても短いために、常時点灯しているように見えるかたがほとんどなのですが、そのかたは、その点いたり消えたりが見えてしまうそうです。

たとえば、蛍光灯が切れかかっているときの不安定な状態の部屋で作業をして、心地いいと感じる人は少ないと思います。
LEDのちらつきを感じるということは、そういう視覚的なノイズがずーっと体に影響を与えていることになるので、調子が悪くなるのは当たり前だと思います。

最近は、鉄道車両の照明にもLEDが使われているものが増えてきており、そのかたは日々の通勤にも苦痛を感じるようになりました。
鉄道会社に訴えても、何の対策をしてくれるわけでもなく、どうにもなりません。

「そんなお申し出をされるのは、あなたが初めてです」
みたいな感じで、終わってしまうのでしょう。


ただ、同じLEDでも、間接照明なら何とか耐えられるそうです。

照明にお詳しいかたなので、いろいろ話を伺いましたが、そもそもLEDは、通常の蛍光灯のような使いかた(天井から真下を照らす)ではなく、間接照明として使うのが正しいとのこと。

ホテルや店舗の照明も、LED(間接照明でない)に切り替わりつつある昨今、これからどうしよう、と本当に心配されています。

この問題は、このかただけに関係するものではないと思います。
恐らく同じようなかたが、実はかなりいるのではないでしょうか。

このかたは、ご自身が照明のことをわかっているので、体調不良の原因をLEDと判断することができましたが、一般のかたはそれに気づかず、「なぜか調子が悪い」という不定愁訴として片づけられてしまっているかもしれません。
これを「感覚過敏の1つ」とするのであれば、発達障害を疑われている・診断されている子供さんの中にも、LEDとの相性が悪いケースは一定数あるのではないかと思うのです。

では、これに対して、眼鏡店として何ができるかというと、実際のところ、対応は難しいように思います。
カラーレンズで眩しさは低減できても、フリッカーそのものが消えるわけではないからです。
LEDそのものを何とかしないことには、解決にならないように思います。

現時点においては、こういうケースがあるのだということを知っておくこと、伝えていくことが大切かと。


  1. 2016/11/02(水) 23:45:02|
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雑感

私が当ブログで晒している技術・理論ネタ、あるいはホームページに記載している内容は、基本的には学校で学んだり、現場で経験してきたことに基づいています。

ですが、どんな場合にも絶対にそれが正しい・当てはまる、とは言えないであろうことに関しては、極力「一般には」「通常は」「原則として」「~の可能性がある」「~と考えられている」といった感じの表現を用い、「言い切る」ことはしていません。

過日、「一般には、そのように言われている」という事柄に対して疑問を抱かれたかたからの質問メールをいただきました。

それに対し、私は学んできたことに基づいた返信、つまり「~については~と言われています」を繰り返したのですが、質問者さんの言われることが私にはわかりにくく、私が答えたことが質問者さんにうまく伝わらず、どうにも歯車の噛み合わないやり取りが続き、最終的に「私では、これ以上の説明はできません」ということで、終わってしまいました。

お役に立てなかったことは申し訳ないのですが、既製の論に異を唱える人と、既製の論を唱える人とでは、噛み合わないのも仕方ないのかなと思ったりもしています。

やりとりの最後に、こんなご意見をいただきました。

「これはどんなことにも言えると思いますが、誰にでも強く信じていることが間違っていることがあります。
それはどんなにその分野で長けていても起こりうることです。
話を伺ってみて感じたことを無礼とは承知で申し上げますが、
恐らく先の説をなんの疑いも持たず過ごされてきたのではないかと思います。」

ここだけ抜き取ると、失礼なことを言われているように見えるかもしれませんが、他にいろいろあっての流れなので、それは全然かまわないとして、ある論に対して自分の中で合点がいってしまっている以上、それについて疑問を持つことはなかなか難しいです。

また、その論が間違いであることを証明するためには、それ相応の検証をせねばならないわけで、検証なくして議論は解決出ません。
その検証ができなかったのも、お互いが消化不良で終わってしまった一因でしょう。


ところで「先人の論に対する疑問」という切り口で考えると、オプトメトリー的視機能分析に関して言えば、よく持ち出される「モーガンの標準値」は、1944年に発表されたものです。
その数値を、現代の日本人に、そのまま当てはめてよいのかと考えると、それについては疑問があります。

恐らく、70年以上経っても大きなズレはないのでは、と思うものの、その疑問を払しょくするためには、今の時点でのデータどりをしていく必要があるわけです。
どなたか、やってくださるとよいのですが。





  1. 2016/10/18(火) 23:40:50|
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違和感

こんな検索キーワードがありました。

1610171.jpg

前にネタにした気がしますが、「メガネを掛けると、自分の背が高くなさったように感じる」ということでしょう。

そう感じる原因の1つとして、倒乱視の矯正があります。

倒乱視というのは、縦方向の線がはっきり見えない状態です。

1502039_20161017191750464.jpg

正方形の図が縦長の長方形に見えたりすることもあります。


それで、倒乱視を矯正したことが「背が高く感じて、歩くのが怖い」という違和感の原因だとして、どうするかというと・・・

最終的には、乱視矯正の度合いを弱くしていくことになりますが、それに伴って、「はっきり見える」という感覚が低下します。
同じ矯正視力1.0だとしても、鮮明さが違うということです。
無論、それなりの量の乱視があって、それを全部なくしてしまえば、見えにくさは増大します。

なので「落としどころ」を決めるためには、お客様との対話が重要です。

たとえば、「深視力検査に合格すればよい」ということであれば、縦棒が見えにくい倒乱視はできるだけ矯正したほうが良いということになります。経って歩きまわることは考えないということです。

一方、スポーツをするときに使いたいということであれば、パフォーマンスに影がない程度の鮮明度の低下は犠牲にして、動き回りやすい度数を選択したほうがいいとも言えます。

逆に「ハッキリ見たい。でも違和感があるのは嫌だ。」と言われても、それは困るわけです。

最初は違和感があっても、徐々に慣れてくるということはありますが、どれくらいで慣れるかはわかりませんし、結局慣れないということもあり得ます。

メリット・デメリットをよく相談し合ったうえで、最終決定をすることが大切です。




  1. 2016/10/17(月) 23:42:04|
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度数を上げれば上げるほど

前にも話題にしていますが、繰り返します。

たとえば、普通自動車運転免許の更新必要な0.7の視力に到達しないようなとき、「更新ができればいいから、とにかく度数を上げられるだけ上げてほしい」と言われることがあります。

つまり、度数を強くすればするほど視力が向上するとおもわれているわけですが、残念ながら、完全矯正値を超える度数を付加しても、完全矯正値にて得られる視力を上回ることはできません。


未矯正の遠視眼が調節をしていない場合、焦点は網膜より後ろに合うために、ぼやけます。

ensi no accomm

凸レンズを付加することで、網膜より後ろに合っていた焦点を網膜上に持ってきます。
完全矯正の状態です。

plas.jpg

ここからさらに度数を強くする(より強い凸レンズを付加する)と、焦点は網膜より手前に合うことになるので、ぼやけます。
「完全矯正値を超えて度数を強くすれば、視力がよりよくなる」という仮説は成り立ちません。


未矯正の近視の場合、網膜よりも手前に焦点が合います。
(完全矯正値を超えて、強い凸レンズを付加したのと同等のイメージです)

kussetu.jpg

凹レンズを付加することで、網膜より手前に合っていた焦点を網膜上に持ってきます。
完全矯正の状態です。

mainasu.jpg

ここからさらに度数を強くする(より強い凹レンズを付加する)と、焦点は網膜よりうしろに合うことになるので、ぼやけます。
未矯正の遠視眼と同じイメージです。

rousi.jpg

ただ、この場合、水晶体を膨らませる、いわゆる「調節」をすることで

Accom_20161010205654a12.jpg

網膜上に焦点を合わせることは可能です。

ですが、これは網膜上に焦点を合わせただけのことなので、完全矯正値で得られた視力を上回ることにはなりません。

また、より強い凹レンズを付加することで調節力の限界を超えてしまえば、焦点を網膜上に合わせることはできないのでぼやけます。
両眼視下の場合は、調節と輻湊の相互関係が働くために、見ているものの位置と視線とのミスマッチが起こり、ぼやけたり複視になったりすることもあります。


とってもかいつまんで説明していますが、いずれの場合も、度数を強くすればするほど視力が向上するということにはなりません。





  1. 2016/10/10(月) 23:47:28|
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やりやすい処方箋

眼鏡処方箋をご持参されるお客様、普通にいらっしゃいます。
この時に困るのが、処方箋記載の度数に基づいての装用テストで不具合を訴えられるケースです。

違和感が強い・近用度数が目的距離に合致していない・その他理由はさまざまですが、そのまま作ってもうまくいかないのは自明であります。
そういったとき、基本は処方した眼科に電話してみることになるわけですが、それはそれで厄介なこともいろいろあります。

今日ご持参いただいた処方箋には、こんな但し書きがありました。

ixy_20161009_01.jpg

処方箋に記載されたプリズム量では具合が悪いということ、たまにあります。
そうすると、こちらとしても対処に困るのですが、このようにお任せいただけるとやりやすいです。

「やりやすい」というのは「簡単だ」という意味ではなく、お客様の反応をうかがいながら、こちらの判断で動けるということです。
眼科的にもプリズム処方をしてかまいませんよ、というお墨付きをいただいたわけですし。
もちろん、眼科への調製報告書の提出は必要ですが。



  1. 2016/10/09(日) 23:40:27|
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理論と実際

名古屋とアメリカでの勉強を終え、他社さんで10ヶ月ほど研修をさせていただき、自店で働き始めたのが2003年。

気がつけば丸14年です。

超頭でっかちな状態で業界に入ったわけですが、理論通りにはいかないこと、たくさんあります。

たとえば、眼鏡学校では「まず基本となるのは屈折異常の矯正である」と教わりました。

その考え方は、もちろんアメリカでも同じです。

1610021.jpg
『Clinical Management of Binocular Vision』 Mitchell Scheiman / Bruce Wick著 より

ここでいう「屈折異常の矯正」というのは基本的には「完全矯正」です。
21項目検査にしても、完全矯正下で行なわれるのが普通です。

そうすると、理論を重視してきた人は、完全矯正値で最終調製度数を決めたくなるものですが、そう単純にはいきません。
お客様が「度がきつい」「違和感がある」などとおっしゃられたら、それは無理なわけです。

(これは私の主観ですが、アメリカ人と比べて、日本人のほうが、完全矯正度数に対する拒否反応を示されるケースが圧倒的に多いように感じています。)

完全矯正値から快適な調製度数をどうやって導き出すかのノウハウは、学校では教えてもらえませんでした。
教わったところで、すべてのお客様にそれが当てはまるはずもなく、そこは経験を積んでいくことが必要なのだと思います。

この「理論と実際のお客様の反応との差」というのは、度数決定のみならず、検査やフィッティング、トレーニングなど様々な場面で出てきます。
これをどのように折り合いをつけながら埋めていくかということ、何年経っても悩まされます。

まさに「生涯勉強」ですね。






  1. 2016/10/02(日) 23:32:51|
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手術したほうがいいですか?

お客様から、よく聞かれます。

「白内障の手術をしたほうがいいと言われているのですが、どう思います?」

手術を受けるべきか迷っているが故のご質問ですが、迷うということは、そこまで困っていないのかなと受け取ることもできるわけです。
本当に見えなくて困っていたら、悩む余地はないようにおもいます。
(中には、そこをメガネで何とか、とおっしゃるかたもいますが。)

周りの人の体験談に惑わされているかたもいます。

網膜疾患を併発していて、白内障手術後の視力がご本人の思っていたほど変わらなければ「やったって大して変わらないよ」という話になるでしょうし、片眼のみの施術の結果、不同視になり、違和感が大きかったり、その他何らかの不具合があれば「やらないほうがいい」となるでしょう。

「これこれこういう理由で、こうなった」というのがあればまだしも、結果のみで「やらなきゃよかった」と言われれば、「そういうものかな」と思われても不思議ではありません。

かといって、そのかたのトータル的な眼の状況がわからないのに「大丈夫ですよ。さっさとやっちゃいましょう」「私なら、やりますけどねえ」などと安易に背中を押すことはできません。
具合が良くなかったら恨まれます。

「先生がお勧めされているのなら、なさったほうがよく見えるようになると思いますが、そこまでお困りでないのなら、もう少し待たれてもいいのかもしれませんね」
といった何の解決にもならない返答になることも多いです。

結局のところ、決めるのはあなたです、ということになりますし、お客様も「話を聞いてもらえれば、それでいい」というのがあるのかもしれません。







  1. 2016/09/27(火) 23:36:05|
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基本は屈折異常の矯正

「生活の中で立体感がないように感じる」とのことでご来店のお客様。

立体感がない→両眼視機能が不安定→斜位が大きい?

といった予測をしてみたものの、カバーテストでは、大きな斜位が見つからず。

3年前に調製した現在使用眼鏡 (支障のないレベルで、実際の数値とは変えています)
右 S-5.00D
左 S-4.50D

完全矯正値 (支障のないレベルで、実際の数値とは変えています)
RV = (1.2 X S-4.75 C-0.25 AX90)
LV = (1.2 X S-3.25 C-0.75 AX120)

この完全矯正値で、遠見立体視は40秒、深視力も誤差1cmの範囲に収まります。
立体視のレベルとしては、大きな問題がありません。

実空間を見ていただいた印象も、現在使用眼鏡と比して、明らかに見やすく、立体感がわかりやすいとのことです。

現在使用眼鏡に関して、両眼を開けて見ているときと、左眼を閉じて見ているときとで、見えかた(立体感の感じかた)がほとんど変わらないことを確認しました。

つまり、現在使用眼鏡では、右眼を中心に使っていたということです。

現在使用眼鏡は、左右眼とも過矯正状態になっています。
左眼のほうが過矯正の度合いが強いので、右眼よりも多くの調節を要求されます。

ですが、一般的には、両眼視下において、右眼と左眼とで調節量を変えるのは困難と考えられています。
そうした場合、調節量が少なく働くことを選択します。

今回のケースでは、右眼のほうが少ない調節で済みますから、右眼の調節量に左眼を合わせることになり、左眼は調節不足の状態になります。
結果、右眼のほうが見やすくなり、右眼を優位に使うことになった、という理屈ではないかと考えます。


実際のところ、取り立てて珍しいケースでもなんでもないのですが、精密な立体視(両眼視)を得るためには、屈折異常の適切な矯正が必須である、という話でした。




  1. 2016/09/24(土) 23:54:22|
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いつの間にか

私は、20世紀末から21世紀初頭にかけて、

S-1.25 C-0.25

くらいの軽い近視性乱視でした。

37歳の時から、「使ってみなけりゃわからない」ということで、加入度1.25Dくらいの遠近両用累進レンズを装用していました。

現在は加齢に伴う遠視化の影響もあり、

右: S-0.25 C-0.25 AX175 ADD1.50 3B.I.
左: S-0.00 C-0.25 AX180 ADD1.50 3B.I.

です。

近見するときは、レンズの下方部、つまり近見度数の入っているエリアに視線を通す癖がついているので、今まで特に気に留めたことがなかったのですが、補聴器のシリアルナンバーを確認する際、

1609161.jpg

裸眼で見てみたら、見えにくいことに気がつきました。

完全矯正値がほぼ正視なので、裸眼で近見しようとすると調節力を働かせないといけないわけですが、それが鈍ってきているということです。
いわゆる「老眼」を自覚し始めたということです。

一般の人は、「近くが見にくくなってきてから累進レンズ」という流れでしょうが、私の場合は「累進レンズを早くから使っていいたので、裸眼での近くの見にくさに気付かなかった」ということです。

実際、去年あたりから、調節力の確実な低下を感じ始めていました。
小さな文字を近づけて、どこまで見えるかをチェックすれば、それはわかるわけですが、生活に支障の出るレベルではなかったのです。
実際の生活シーンでそれを感じたのは、今回が初めてでした。

普通の人ならガックリくるところでしょうが、私は他の面で衰えをとっくに自覚しているので、むしろ「ようやく、累進眼鏡の使い勝手がわかるようになってきた」と、喜ばしい感覚のほうが強かったりします。
これまでは、遠用度数部分でも見えていたので、累進レンズのありがたみや性能がイマイチわからなかったのです。

最近、遠用度数が合わなくなってきているので、これを機に加入度も変えて、いくつかレンズを試してみようかなと思い始めました。




  1. 2016/09/16(金) 23:50:04|
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検診時と視力が違う

「会社の検診で、矯正視力が 0.7 だと言われました。メガネつくりかえたほうがいいでしょうか?」みたいなご相談を受けることがあります。

で、とりいそぎ、矯正視力を測ってみると、1.0が見える。
といったことは、たまにあります。

すなわち、検診時との視力に差があるということです。
そうしますと、「あの時、体調悪かったのかな~」といった話になるのですが、ご本人の体調要因以外にも、考えられる原因は幾つかあります。

当店での視力表は、眼前5mに設置していますが、検診では卓上型覗き込み式を使うケースが少なくありません。
深視力計でもそうですが、この「覗き込み式」との相性が悪いかたが少なからずおられます。

当店では、「勘でもいいので、何となくでも切れ目がわかれば答えてください」という案内をしています。
お客様が視標をじーっと見ながら、切れ目の方向を見極めているときは、答えを待ちます。
検診では、次から次へと視標を出されたり、見極める時間をあまり設けてくれないかもしれません。

覗き込み式での検査において考えられるのが、意識的・無意識的に累進レンズの近用部分で視標を見てしまっている可能性。
意識的というのは「近くのものを見るのだから」という勘違いによるもの。
無意識的というのは、視線の使いかたがよくなかったり、フレームが型崩れしていたり、といったもの。
視標サイズは遠方視の設定ですから、近用度数でみたのでは視力が低下するのは当然です。

他にも理由はあるかと思いますが、そういったわけで、検診時と視力が同じでないということは、測定環境が同じではない以上、起こり得ます。

こういうかたが来られた場合、矯正度数と装用眼鏡度数にほとんど差がなければ、「フレームに飽きたわけでもなく、ふだん不自由もないのなら、そのまま使っていてもよいのではないですか」とお伝えをすることになります。
無論、検診で眼科領域の検査項目が視力測定のみであったならば、念のため眼科受診しておくのはよいことだと思います。



  1. 2016/09/06(火) 23:50:52|
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遠くは見える

ご年配の人に限った話ではないのですが、ふだん裸眼で生活していて、「眼が疲れる」とか「肩が凝る」などといった不具合を口にされるかたがおられます。

そういうかたに「ふだんからメガネを掛けたほうがいいのではないですか?」とお伝えすると、「いや、遠くは見えるんだよ」といった返答が返ってきます。

そういうかたの遠見度数を測定すると、こんな感じだったりします。

1608211.jpg

遠視性倒乱視だったり、混合乱視だったりすることが多いです。

この場合の「遠くが見える」というのは、「ご本人の不自由がない程度に見える」という意味で、「はっきり見えている」わけではないはずです。
この度数を通して見てもらうと「よく見える」と、おっしゃいますからね。

で、このかたたちが素直に遠く用のメガネ(遠近両用でもいいのですが)を掛ける気になってくれるかというと、これが難しいことが少なくなく。
この期に及んで、「いや、遠くは(裸眼で)見えるから」とおっしゃるかたもいますし。

メガネを掛けても掛けなくても遠くが見えるということは、自分の眼がメガネの代わりに働いているわけですから、疲れて当たり前なのですが、まぁ、できるだけメガネを掛けたくないという気持ちもわかります。

こういうときに、いかにして「その気」にさせるか、そして掛けやすい(慣れやすい)度数を選択するかが、とても大事なところです。





  1. 2016/08/21(日) 23:39:02|
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DS

米国O.D.による眼鏡処方箋を持参のお客様がいらっしゃいました。

処方度数は下記の通り。

1608061.jpg

乱視度数の欄(CYL)に記載されている「DS」は、「Diopter Sphere」の略です。
「球面度数のみ」といったニュアンスでしょうか。

そんなの知らなくても、「乱視なし」であることは察しが付くと思いますが、中には焦る人もいるかもしれませんので、念のため。




  1. 2016/08/06(土) 23:55:15|
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メガネで何とか・・・

当店はメガネ店です。
メガネを売らないことには、やっていけません。

ですが、中には、お売りすることを躊躇してしまうようなケースもあります。

たとえば、

・今のメガネが見えにくい

・眼科で白内障の手術を勧められている

・手術はしたくない

・メガネで何とか見えるようにしてほしい

というようなお申し出。

このような場合、眼前に当てたレンズ度数にかかわらず、視力の変化が得られない、ということが少なくありません。
つまり、現在使っているメガネの度数から変えたところで、数値的(視力的)には効果がないということです。

だから手術を勧められているのだけれど、ご本人はやりたくない、と。

八方ふさがりの状況ですが、ちょっと度数を変えることで視力は同じだけれど、「見やすい(ような気がする)」とおっしゃられることがあります。
「ちょっと明るく見える」「ちょっと濃く見える」とか、そのレベルの変化でも、今より少しはマシになるから、この度で新しくメガネを作りたい(レンズを交換したい)、という流れになるわけです。

たとえ「気のせい」であったとしても、お客様の「見えかた」は、私にはわかりませんので、お客様の反応を信用するしかありません。
それでお客様がご満足していただけるのなら、喜んでお受けすればいいのですが・・・

過去に一度、上記のような背景でお作りしたメガネの納品後に、ご家族から物言いがついたことがありました。

「メガネを変えたのに、ちっとも見えるようになっていない」
とのことです。

こちらとしては、「視力的な変化はない」ということを説明したうえで、お客様のご要望に従ってお作りしたので、その辺の事情はご説明しましたが、後味の悪さが残りました。

「買う気満々で来たのに、売ってもらえなかった」と言われたこともあるくらい、当店では「無理におすすめ」することはしていません。
その辺のスタンスは、お含みおきいただければ幸いです。



  1. 2016/07/26(火) 23:43:34|
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雲霧

初めてメガネを作りに来られたかた、当店だと、特に深視力がらみのかたに多いのですが、オートレフラクトメーターでチェックすると、こんな風な結果になることがあります。

1607181.jpg

S(球面度数)、C(乱視度数)ともに、3回の測定値での変化が大きく、測定毎に遠視度数が(0.00 → +0.25 → +0.75)と強くなっています。

当然、遠視性乱視ないし混合乱視と予測して屈折検査に入るわけですが、検査に入る前に、+3Dくらいを装着したテストフレームを5~10分くらい装用してもらうことがあります。
遠くの景色はボヤけて見えにくくなるはずなので、そのまま辛抱してもらいます。

このタイプのかたは、裸眼状態で常にピント合わせの機能を働かせていますので、その機能が凝り固まってしまっている可能性があります。
凸レンズで強制的にボカした見えかたを作り、ピント合わせの機能をほぐしていくのがねらいです。

このように凸レンズでボカすことを「雲霧(うんむ)」と呼んでいます。

雲霧をかけたあとは、そのまま両眼開放で屈折検査に入るのがルーティンですが、試しに雲霧直後の状態をオートレフラクトメーターでチェックしてみると、

1607182.jpg

結構、数値が安定しているのがわかります。

余計な時間はかかりますが、この一手間をかけたほうが、度数測定中の反応がよいことも多いです。




  1. 2016/07/18(月) 23:37:47|
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評価中

昨日のビジョンスクリーニングの結果を評価中です。



素点に反映されていない部分、上手にできなかった部分を、どのように解釈・分析するかが難しいところです。



  1. 2016/07/15(金) 23:25:29|
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テストフレーム

今年の初めごろでしたか、新しいテストフレームが発売されました。

ixy_20160712_01 (1)

当店で使っていた従来のPD可変式テストフレームも、テンプルの長さや傾斜を変えたり、パッドの高さを変えたりといった微調整はできる仕様でしたが、

ixy_20160712_01.jpg

新しいテストフレームは、さらに改良を加え、PDを各眼別に設定できることと、80mmまでのPDに対応できるところがよいです。

従来のPD可変式・固定式は74mmまでしか対応していなかったので、

ixy_20160712_02.jpg

それを超えるPDの場合には、こちらを使っていましたが、

ixy_20160712_03.jpg

使い勝手というか安定感(フィット感)がイマイチでした。
新しいもののほうが、安定しやすさで優るようです。

この新しいテストフレームが完璧とは思いませんが、使いやすい製品の研究開発を、これからもお願いしたいです。


ところで「75mmを超えるPDの人なんて滅多にいないのでは?」と思うかたもいるかもしれませんが、「大きいメガネ」を扱っている当店では、普通に来店されます。

今日のお客様も79mmでしたので、

ixy_20160712_04.jpg

新しいテストフレームがあって助かりました。







  1. 2016/07/12(火) 23:50:20|
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