キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

新入荷の跳ね上げフレーム

こちらのフレーム。

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当店で跳ね上げフレームをご購入いただいたお客様からのリクエストで仕入れた、跳ね上げフレームです。

こういう跳ね上がりかたをします。

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跳ね上げ部が前方に飛びださないので、カメラをはじめとする計器類を覗くときに、接眼部との干渉がしにくいと思われます。

跳ね上げフレームの場合、

・跳ね上げた状態で近見をする
・跳ね上げた状態で遠見をする

の二つに大別されますが、このフレームは、かなりしっかりと跳ね上げないと、水平視線で眼前に跳ね上げ部がかかりますので、「軽く跳ね上げての遠見」には向かないと思います。
やや下方視で近見をするかた向きではないでしょうか。


跳ね上げの機構は、シンプルなネジ止め式。

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左右の跳ね上げ部は、互いに歯車で噛み合っていますので、左右眼のどちらかのみを跳ね上げることはできません。
使用に伴いワッシャーがすり減るはずなので、適宜新しいワッシャーへの交換は必要になると思われます。

どの程度、ワッシャーの耐久性があるかはわかりません。
跳ね上げの頻度によって、大きく異なってくると思います。

同じものを扱っている仲間の話だと、短期間でおかしくなるような事例は起きていないということなので、リクエストされたお客様の分とは別に、もう一本、仕入れてみました。

仕入れた以上は、売らないといけません。
ご興味のあるかた、一度お手に取ってご覧ください。



  1. 2017/05/22(月) 23:55:26|
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サングラスの濃さ

当店では、1本何万円もするようなデザイナーズブランドのサングラスや、いわゆるスポーツサングラスは、現状取り扱いがありません。

こういうスタンダードなデザインの品ぞろえが中心になります。

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当店にサングラス(度なし)をお求めに来られるかたは、ほとんどがご高齢のかたです。
そのかたたちがよくおっしゃられるのが、「色の濃いサングラスは、眼によくないと聞いた」ということ。

「色が濃いレンズが目の前にあると瞳孔が散大し、紫外線を眼内に侵入させやすくなる」という理屈です。

確かに、それはその通りかとは思うのですが、色の濃いサングラスと薄いサングラスとで、瞳孔の散大量にどれだけの差が出て、紫外線の侵入量にどれほどの違いが生じ、それによる眼疾患発生のリスクがどれくらい高くなるのかと考えると、どうなんでしょう?

色の濃いレンズのほうが、色の薄いレンズより、眩しさを防ぐ効果は高いと思います。
「眩しさを防ぎたい」という目的でサングラスを選んでいるはずなのに、紫外線の余分な侵入を懸念して色の薄いレンズを選び、多少眩しさを感じながらも「裸眼よりはマシだから」というのは、ちょっと本末転倒のような気はします。

それよりも、つばの広い帽子を被ったりして、極力紫外線の侵入を防ぐような対策をした上で、眩しさを感じにくい濃さのレンズを選ぶほうが快適なのではないかなと、個人的には思っています。

なお、瞳孔が散大することで、眼房水の排出が妨げられ、眼圧が上昇してしまうというロジックが成り立つケースもあるかもしれません。
そういう場合は、色の薄いレンズのほうが良いとは思います。
「濃いレンズで、どんな人でも絶対に問題がない」と申し上げているわけではありませんので、誤解なきようお願いします。



  1. 2017/05/09(火) 23:52:52|
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天然木

テンプルに天然木を使ったフレームが入荷しています。

花梨

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紫檀

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動物の角とか、鼈甲とか、天然素材を用いたものはいろいろいろありますが、基本的にフレームの扱いがぞんざいな人にはお勧めできません。
濡れたままにしないとか、整髪料が着いたら拭き取るとか、ちょっとした一手間をかけることで長持ちします。

なお、上記のフレームは、耳に掛ける部分(モダン)は天然木ではないので、フィッテング可能となっております。



  1. 2017/04/29(土) 23:50:13|
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中等度近視でウスカルフレーム

ウスカルフレームにご興味を持たれたお客様。
検査の結果、左右ともS-5.75Dでお作りいただくことになりました。

眼科的に近視度数の強さを分類すると、S-6.00Dから「強度近視」になります。

S-5.75Dは、その一歩手前なので「中等度近視」ということになるのですが、「ウスカルフレームを目当てにご来店されるお客様の中では、「かなり弱い度数」です。

こちらの36□26のウスカルフレームに組み込みました。

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ふだん、S-12.00Dくらいを超えるお客様が選ばれることの多い、かなりレンズを薄くできるサイズです。

このサイズで、この度数(S-5.75D)ですと、屈折率を上げていっても、コバ厚は0.1~0.2mm程度ずつしか薄くなりません。
変化量が少ないのです。

「とにかく、0.1mmでも薄くしたい」というのならまだしも、そこまでこだわらなければ、コストパフォーマンスが高いとは言えません。
超高屈折率のレンズにする代わりに、同じ予算で屈折率を落として、UV420、もとい、400~420nmあたりの波長を抑えるレンズにされました。

屈折率1.67 プラスチック外面非球面レンズにて、耳側コバ厚は2.2mm。

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レンズの中心厚自体が1mmほどありますので、さすがにコバがリム内に収まるまではいきませんでしたが、きれいに仕上がりました。

ちなみにこのフレームですと、S-10.00Dくらいまでなら、ガラスレンズを使うことで2mm台(3mm未満)の厚みにすることは可能です。


  1. 2017/04/25(火) 23:45:50|
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UV420?

先日仕入れたサングラスについていたタグ。

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「UV400」というのは、良く知られていると思います。
400nm(ナノメーター)以下の紫外線(Ultraviolet : UV)をカットしますよ、という意味合いで使われているように理解しています。

ということは、「UV420」というのは、420nm以下の紫外線をカットしますよ、という意味合いになると考えるのが自然です。

が、本来420nmという波長の光は、紫外線ではなく、可視光線(Visible light)に分類されるものです。

数年前から、「ブルーライトカット」とは別のカテゴリーとして、420nm前後の波長をカットするレンズが発売されています。
発売に至った背景等は、ここでは割愛しますが、420nm以下の波長をカットしますよ、という意味で「UV420」という表現が使われているのだと思います。

しかし、繰り返しますが、420nmは「UV」ではありません。
なので、私は、この表現にとても違和感を感じています。

「言いたいことは分かるのだけれど、それってどうよ?」
ということです。

420nmというのは、可視光線の中でも高エネルギーな、HEV(High energy visible light)の範囲に入ります。

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であれば、「UV420」よりも「HEV420」のほうが、主旨に沿っているように感じます。

無論、「HEV」という言葉が知られていない以上、それでは何のことだかわかりませんから、やむなく「UV420」という表現にしているのだとは思います。
ですが、「わかりやすく」ということと、「定義を違える」ということとは、別問題だと考えます。

同じ意味合いで、「UV+420cut」という表現をされているものもありました。
分かりやすいかは別として、こちらのほうが論理的(?)な印象を持ちました。

「批判するだけじゃなく、代案を出せよ」と言われると困るのですが、もしかすると、これから先、この「UV420」という表現が市民権を得るのかなと思うと、釈然としないものを感じます。



  1. 2017/04/23(日) 23:45:26|
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改良提案

先日ご注文いただいた、お子様メガネ。
左右眼ともS+21.00Dでした。

屈折率1.67のキャタラクトレンズをオーダーしたところまではよかったものの、

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恥ずかしながらワタクシ、この度数のキャタラクトレンズを加工するのは初めてだったので、予測していなかったトラブルにでくわしました。


加工機でレンズを削るための下準備として、レンズに光学中心位置の印をつけるのですが、通常は、光学中心点以外に水平方向に二か所、印が付きます。

しかし、何度やっても光学中心位置しか印が付きません。

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なぜだろうと調べてみると、当店のレンズメーターの構造上の問題でした。

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通常のレンズと違い、レンズ中心部に向けて急激に厚みが増すため、印をつける部品の角がレンズに干渉してしまい、印字部がレンズに届かないのです。

キャタラクトレンズの加工自体は初めてではありませんが、こんなことは初めてです。
今回は度数の入っている部分の径が34mmで、度数も強かったので仕方ないのかもしれませんが、これではどうにもなりません。

他社製の手動式レンズメーターですと、ちゃんと3か所の印がつきますが、レンズを抑えるパーツが3点止めで、

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レンズを保持するには安定性が悪く、(ふだん使っているのは4点止めです)

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且つ、0.01△単位での印点打ちができません。
超強度数なので、これでは仕上がり精度に不安があります。

ですから、何とかして、いつものレンズメーターを使いたいのです。

ダメ元で、印字パーツの角を

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削ったら

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何とか3点印字ができました。

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最初から、こういう形の部品にしてくれていればよいわけです。
お願いしますよ。。。


ちなみに、レンズを吸着するときも、見にくくて結構難儀しました。
(2mm偏心でのチャッキングです)

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仕上がりは、こんな感じで、

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さすがに中心厚は、かなり抑えられました。


今回のように、ニッチなレンズを加工するときにならないとわからない問題点というのが、眼鏡機器には実はいろいろあります。
このような現場からの声を吸い上げて、商品開発に生かしてほしいと思うのですが・・・







  1. 2017/04/15(土) 23:45:05|
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遠近累進レンズでのデスクトップパソコン

眼鏡店のスタッフなら当たり前にわかっていることでも、一般のかたには知られていないこと、たくさんあります。

「手元が見にくくなり、パソコン作業もしんどいので、遠近両用にしたけれど、とても眼が疲れる」といったご相談を受けること、結構あります。

この場合の遠近両用というのは、境目のない累進レンズとお考えください。

で、こういうお客様に「お使いのパソコンは、ノートタイプですか?デスクトップですか?」と尋ねると、「デスクトップ」もしくは「両方」と答えられることが多いです。

通常の遠近両用累進レンズ(以下、遠近累進)は、正面視時に遠くのもの(数メートル以上先のもの)が見える度数が見えるような設定にしています。

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近くのもの(書籍等)を見るときには、レンズ下部に設定されている近用度数を通して見る必要がありますので、下眼遣いになります。

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デスクトップパソコンの場合、ほぼ正面にモニターが来るケースが多いのではと思います。
そうしますと、遠近累進でモニターを見ようとすると、近用度数領域に視線を通すために、こうなります。

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首が疲れます。

普通に遠くを見るような感じでモニターを見ると、

enken.jpg

首は楽ですが、数メートル先を見るための度数でモニターを見ることになりますので、遠近累進の用を成さず、眼が疲れます。


結果として、遠近累進ではデスクトップでの作業がしんどいということになります。

こうした問題を解決するため、正面視時に近見可能な度数を配分した「中近」「近々」などといったレンズが用意されています。

私は、「デスクトップモニター以遠は見えなくてよい。モニターと手元をしっかり見たい」という場合には、「モニターの距離に遠用度数を合わせた、累進帯長の短い、遠近累進」をおすすめすることがあります。
加入度が少なくて済むので、「中近」「近々」よりも反応が良好なことが少なくないです。
イレギュラーなやりかたでしょうが、「これが見やすい」と言われれば、それはアリでしょう。

建築系のかたで、モニターがかなり大きい場合に、バイフォーカルレンズでうまくいったときもあります。


使われるかたの環境・クセなどで、着地点は異なりますので、いろいろなパターンを試してみることが大切だと思います。



  1. 2017/04/11(火) 23:41:08|
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色覚支援レンズ

「私は色覚異常があります」ということを再三述べてきました。
「色がまったくわからない」わけではなく、「ある色の見分けが困難」ということです。

このたび、遅ればせながらですが、「色覚異常のかたが色を見分ける」のをサポートするレンズ「イーガ」の取り扱いを始めました。

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上半分の色が付いた部分で色を見分け、下半分の無色部分で実際の色を見る、という使いかたです。
どれだけニーズがあるかわかりませんが、度付きにできるということで、扱ってみることにしました。

また、色覚異常のかたの見えかたを疑似体験できるお試しレンズ「バリアントール」もご用意しております。
こちらは、ご購入希望のかたは、メーカーサイトから直接ご購入いただくことになります。

もう少し細かい話は、当店HPにまとめましたので、ご興味のあるかたはご一読ください。


  1. 2017/03/14(火) 23:52:30|
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クリングス折れ

鼻パッドを支える金具(クリングス)が、折れてしまうことがあります。

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この場合、当店では対応ができないので、修理業者に送って直していただくことになります。

折れてしまったクリングスの形状が、こんなような、よくあるものだと修理業者さんも似たものの在庫があるので話が早いのですが、

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冒頭の画像のような形状だと、そうはいきません。

片方だけ治すと色がチグハグになりますので、壊れていないほうも外してしまい、業者さんのほうで、類似の形に金属を加工した物を取り付けていただきました。

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業者さんに送る日数、送り返してもらう日数、作業する日数がかかりますが(もちろん費用もかかります)、それさえ許容していただければ、かなり厄介な修理も請け負っていただけますので、ご相談ください。


  1. 2017/03/10(金) 23:41:15|
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太めネジ

メガネフレームのネジのサイズについては、このブログを始めたころにネタにしました。

レンズ止めネジやテンプル止めネジの太さは1.4mmが多いです。

新品のフレームでは、まず問題ないですが、古いフレームになると、このネジの締まりがあまくなってしまうことがあります。
空回りしてしまって、ネジが止まらないということも起こります。

そうした場合、1.5mmという、0.1mm太いネジを使うことで対処はできるのですが、当店で用意している1.5mmは、長さが一種類しかありません。(画像左)

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よく使う長さに比べて長めなので、適宜切って使いますが、面倒です。

そんなとき、「ちょっと太めのネジ」が役に立ちます。

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今まで知らなかったのですが、通常1.4mmと公称しているネジの実寸は1.36mmだそうです。
この「ちょっと太めのネジ」は、1.42mmです。

1.5mmのネジも、実寸は1.46mmくらいしかないのかもしれませんので、それよりは、ほんのちょっと細いということになります。

こちらですと、ネジの長さが6パターンありますので、1.5mmを切るより綺麗に仕上がります。
もちろん、これでダメなら1.5mmを使うことになりますが、ファーストチョイスとして、なかなか使えます。





  1. 2017/03/03(金) 23:51:21|
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眼鏡橋華子の見立て

講談社のマンガ誌「モーニング」に連載されている「眼鏡橋華子の見立て」という作品の第一巻が発売されました。

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細かいことは割愛しますけれど、一話ごとにメガネフレームの紹介が組み込まれています。

「メガネフレームなんて、どれも似たようなもの」と思っておられるかたが多いかもしれませんが、決してそんな単純なものではないんだよということが、少しでも伝わるといいのかなと思います。

メガネに興味がない読者に受け入れられるストーリー展開にしていくために、内容が今後どうなっていくのか。
私は「モーニング」は読んでいないので、二巻以降も今の流れで続くのかどうかはわかりません。


  1. 2017/02/27(月) 23:52:06|
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メガネの置き場所

ご高齢のかたに多いような気がするのですが、こんな風に変形してしまったフレームを持ち込まれることがあります。

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椅子の上に置いてあったメガネに気づかずに座ってしまった、というのが原因です。

自分で座ってしまうケース、ご家族(ご主人・奥様)が座ってしまうケースなどありますが、そもそも、椅子の上に置くこと自体が好ましくはないでしょうね。

イスに座って、老眼鏡を掛けて新聞を読んで、読み終わった時に無意識的に、隣の椅子の上に置いてしまう。

それに気づかずにご家族が座ってしまう。

といった流れかと推測しますが、せめてテーブルの上に置いていただけると、このようなアクシデントは減ると思います。

何度もお伝えしているように、修復中に破損するリスクが伴いますから、「壊さないように直してくれ」と言われたらお断りしますが、
破損の可能性をご了承いただければ、

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直せます。

壊れるときは壊れますがね。



  1. 2017/02/20(月) 23:53:31|
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強めのプリズムレンズの加工

先日は、度なしで片眼8プリズムB.O.ずつのメガネの話をしました。

今回調製したのは

R: S-3.75 C-0.75 AX175 7△B.I. 3.5△B.U.
L: S-3.50 C-1.00 AX180 7△B.I. 3.5△B.D.

でした。

こういう場合、プリズム量を決める作業はもちろんですが、そのあとのフレーム選びや加工も気を遣います。

屈折率1.70のプラスチック外面非球面レンズを使用します。

わかりにくいですが、レンズの厚みが大きく異なります。

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加工機でレンズを削る際、レンズを左右のバーで抑えるのですが、このような直角三角形に似た形状のレンズを抑えようとすると、

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抑える部分の圧力がレンズ面に均等にかかりにくくなってしまうため、削っている間に微妙にレンズがずれてしまうリスクが高くなります。
今回はプラスチックレンズですが、ガラスレンズの場合は、特に要注意です。

レンズがずれてしまうと、形がおかしくなってしまったり、乱視軸やプリズムの基底方向が指定した数値と変わってしまいます。
そのため、まず大まかにレンズを一回削り、もう一度中心の位置を決め直して、仕上げの削りをするという、2段階の加工をしたほうが安心です。
(それでも、ずれるときはずれます)

1回目の削り終わり。
黒い線が、削る目安です。

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もう少し削りたいところですが、耳側のほうが削れてしまっているので、これ以上は無理をしません。


さて、今回のような、ある程度の量のプリズムになると、納品されてくるレンズ度数の精度が若干甘くなります。
注文する段階で、メーカーさんから「その点、ご了承ください」と言われます。
無論、実害のないレベルの誤差ですが、そこはやむを得ません。

また、今回のように水平・上下のプリズムですと、レンズを削る際にレンズに貼り付ける器具を吸着させる際にも問題が出ます。

通常は、このように太い線と細い線が重なっていまして、真ん中の小さな丸のところに光学中心がくるように、且つ、その水平線上にレンズの水平基準位置がくるようにレンズをセットして吸着します。

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しかし、プリズム量が大きいため、この線がずれて見えます。
これは、強度乱視で、乱視軸が斜め方向の場合にも起こります。

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ずれて見えている小さな丸に光学中心を合わせれば済むのなら簡単ですが、それでは不十分です。
どこを狙えばいいかの微妙なさじ加減は、経験が頼りになります。

吸着した器具の中央に、光学中心位置を示す黒いしるしが来ていることが、狙い通りか否かの目安になります。

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玉型形状や瞳孔中心間距離の兼ね合いによっては、この確認方法が取れないことがあります。
そういうときは、それこそ、仕上がってみないとわからない、という状態になります。

ですので、納品されてくるレンズの精度同様、加工の精度も若干甘くなってしまいます。
どの程度の加工誤差までを許容するかは、ケースバイケースです。

ということで、仕上げの削り行程に入ります。

今回は鼻側と耳側の厚みの差が大きくなります。
フレームのカーブとレンズのヤゲンカーブをなるべく合うように調整したいのですが、

1702135.jpg



1702134.jpg

レンズ形状の関係で、あまり融通が利きません。

なので、フレームを選ぶ際には、レンズのヤゲンカーブを想定した上で、必要に応じてフレームカーブの調整ができるものを選ばないと、レンズをフレームにはめるときに難儀します。

また、鼻側の厚みが大きくなりますので、

1702139.jpg

クリングス(鼻パッドを支える針金状の部分)の形状によっては、クリングスとレンズのコバとが干渉しあうため、レンズ鼻側を大きく面取りする(見栄えが悪くなる)必要があります。

今回はアセテート枠を選ばれたので、その点の心配はありませんでした。

1702140.jpg

加工上の留意点は店の担当者の問題ですが、フレーム選びはお客様の好みも関係してきます。
上記のような理由により、仕上がりの状態を考慮してフレームをおすすめする場合がありますことを、あらかじめご了承ください。





  1. 2017/02/13(月) 23:55:23|
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最初が肝心

たとえば「他店で数年前に作ったメガネで、遠くが見えにくくなってきた」という主訴で来店されたかたの検査をしたら

Rv = (1.2 X S-2.50 C-1.50 AX145)
Lv = (1.2 X S-3.25 C-1.25 AX5)

という完全矯正値が得られたとします。

それで、最終的にどういう度数で調製するかというと、そのまま完全矯正値でやってよければ話は早いのですが、違和感が少なくなるようにということを念頭におくと、どうしても「今まで掛けていたメガネの度数」というのを参考にする必要が出てきます。

もし、使用中のメガネの度数が、

R : S-2.00 C-1.50 AX145
L : S-2.75 C-1.25 AX5

であれば、近視を二段階上げるだけですから、完全矯正値でもいいかもしれません。


ですが、使用中のメガネの度数が、

R : S-1.50
L : S-1.50

だったとしたら、いきなり完全矯正値までもっていってよいのだろうかと悩む担当者が多いのではないかと思います。
「乱視、どうしよう」「左右の近視度数差をどうしよう」等々。

それで、この

R : S-1.50
L : S-1.50

のメガネが、お客様にとって初めてのメガネだったとして、その時の完全矯正値が

Rv = (1.2 X S-1.50 C-1.00 AX145)
Lv = (1.2 X S-1.75 C-1.00 AX5)

だったとします。

「初めてのメガネだし、あとでクレームになっても困るし」みたいな考えで、「弱めのほうが楽ですよ」とかなんとか言って、安直に

R : S-1.50
L : S-1.50

に決めていたのだとしたら、どうでしょう。

もし、この時点で、幾らかでも乱視を入れていたら、今回の乱視度数の扱いが少し楽になるわけです。
それをしないで済ませたことにより、あとあと対処に困る、というパターンです。


つまり、一番最初に作るメガネの度数というのが、ややもすると、その後の方向性を決めかねないということです。
最初の時に、しっかり説明をし、装用テストをして、使いやすい度数を決めることが肝要であると思います。







  1. 2017/02/05(日) 23:48:19|
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丸小玉

バイフォーカルレンズにはいろいろな種類があります。

これは近用部が丸いタイプです。

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遠用部から近用部へ視線を移したときの違和感を強く感じられることもあり、今までこのタイプを使われているかたにしかお売りしたことはありません。
お試し用のレンズも用意していませんので。

先日、このレンズをメーカーにオーダーしたら、「すでに販売中止になりました」と言われました。
他のメーカーを当たってみないといけないなと思ったところ、幸い、まだ生地が残ってていたということで、無事仕上げることができました。

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二重焦点レンズは、その利用者の多くがご高齢のかたと思われ、市場シェアは圧倒的に累進レンズが占めているわけですが、二重焦点でないと合わないというかたがおられます。
採算を考えると厳しいのでしょうが、安易に製造中止にせず、残していってほしいと思います。



  1. 2017/01/25(水) 23:58:23|
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多品種少量生産

たとえばお気に入りの靴の右足用を激しく傷つけてしまった場合に、購入店に行って「右のみ取り寄せてほしい」という注文をする人は滅多にいないと思いますし、そういう対応も難しいのではと思います。

一方、メガネの場合は、修理対応ではなく、前枠のみ、テンプルのみを取り寄せる、ということが可能です。
金額的には修理のほうが安くあがることが多いでしょうが、熱処理をするためにカラーが変色したりするのが気になるのなら、新しい部品を取り寄せたほうが綺麗かもしれません。

テンプルを片方のみ取り寄せるようなケースでは、先セルの劣化具合が反対側と異なるので、先セルは両方交換したりすることもありますが。

ただ、そういう対応ができるのは、メーカーに在庫がある場合に限ります。


メガネフレームは、多品種少量生産なので、今月発売した4型4色のフレームが、半年後・1年後・3年後にも同じように在庫が残っている保証は全くありません。

仕入れたフレームが短期間ですべて売り切れる=陳列してあるフレームはすべて新作ばかり、というお店はきわめて少ないと思います。
すなわち、今日仕入れたフレームが、売れずに長期間残ってしまうということは珍しくないわけです。
そうしますと、販売が決定した時点で、同じもののメーカー在庫は既になくなっている場合もあり得ます。

フレームによっては、在庫が切れたら再生産をするものもありますし(納期はそれなりにかかかります)、売り切っておしまいというものもあります。

私は「在庫処分品」みたいな、売り切っておしまいという特価商材を仕入れるのは好きではなく、比較的長期間パーツ管理をしてくれているフレームが好みなのですが、それでも在庫がなくなるときはなくなります。

以前、ある業者に、そういったパーツ管理についてお尋ねしたところ「そういうことを言ってくるお店とは取引したくない」と言われたこともありました。

また、たとえば右テンプルのみを出荷してくれる場合、アフターサービス用に生産している在庫を出荷するというよりは、通常在庫の中から、右テンプルを外して出荷するというケースが多いのではないかと思います。
そうすると、その右テンプルを外したフレームは「一本」としては出荷できなくなってしまうわけです。
メーカーとしては、正直困ります。
ですから、パーツ対応をしていただけない場合もあったりします。

このように、いろいろ事情がありますので、「同じパーツを取り寄せたい」という場合には、「在庫がなくて当たり前」くらいの気持ちで、購入店にお尋ねになるとよいかと思います。



  1. 2017/01/16(月) 23:34:34|
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ハズキルーペ

積極的なテレビCМを展開しているハズキルーペ。

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勘違いされているかたもおられるようですが、どんな人でも、どんな条件でも、近くのものが大きく見えるわけではありません。

あくまでも、近用眼鏡を装用した状態で、その上から装着するすることでルーペとしての役割を得るものなので、
裸眼で使えば基本的には+2.50Dの既製老眼鏡です。

たとえば、現在S+2.50Dの既製老眼鏡を使っている人が、裸眼状態でハズキを装着すれば、老眼鏡として機能することになります。
あるいは、S-2.50Dの遠用鏡を使っている人が、その上からハズキを装着すれば、遠用鏡の上から既製老眼鏡を装用することになり、度数的には相殺されますので、裸眼と同じ状態になります。
ただ、いずれの場合も、ハズキの構造に基づく光学的特性で、通常の既製老眼鏡よりも若干の拡大効果は得られますが。

光学特性上、焦点距離は決まってしまいますので、近用鏡の上からハズキを掛けて、手元の細かな文字は大きく見えるようになったとして、2m離れたテレビの字幕も大きく見えるかといったら、そんなことはありません。
ボケて見えにくいはずです。

ですから、通販で飛びつくよりも、店頭で見え具合を確認するのが良いとは思うのですが、どなたかへのプレゼントだったするとそういうわけにもいかないでしょうしね。

当店では11月ごろに、(当店としては)それなりの本数を販売しました。
注文しても納期が1週間ほど先になってしまうということで、機会ロスが生じたりもしました。
ご高齢のかたがせっかく足を運んでくれたのに申し訳ないと思い、じきにブームが終わるのを承知で、少し余分に注文したところ、予想通りバブルははじけたようで、今は落ち着いております。

ブルーカット対応のもの、天地の浅いもの、などいくつかのモデルがあるようですが、当店ではもっともなスタンダードな、クリアレンズ・天地幅40mmくらいの「ハズキ partⅢ」を、赤・黒・紫と3色在庫しております。
どの色が売れるかはなかなか予測が難しく、現在は黒の在庫に余裕がございます。
なお、通販は致しませんので、通販ご希望のかたのご希望には添えません。
あしからずご了承ください。







  1. 2017/01/13(金) 23:20:27|
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レンズの傷

「レンズに傷がついた」ということで、「交換したほうがいいでしょうか」と聞かれるケースがあるわけですが、傷のつきかたが微妙な程度の場合、「気になるようでしたら交換されたら」といった返答をするのが常でした。

私自身、明らかに目立つ傷のついたレンズというのを使ったことがなかったため、「気になるか否か」という点について、実際のところどうなんだろうと思っていたわけですが。

正月にメガネを落っことして傷をつけましたので、図らずも体験可能となりました。

IMG_9635a.jpg

点のような傷ですから、面で傷がついたのとは比べるまでもありませんけれど、確かに気にはなりますね。
ただ、このレベルだと、鬱陶しくてイライラするところまではいきません。
この辺は、個人個人の感覚で大きく異なるところと思います。

当初は早急に交換しようと思っていたものの、意外に我慢できる範疇だということと、「どんなに、傷に強いといわれる強化コーティングをしたとしても、あくまでも細かな拭き傷に対する耐性であって、このように落っことしてガツンと衝撃を与えたときは、傷がつきます」という説得力のある説明ができることに気がついたので、もうしばらくこのままでいいかなと思ったりもしています。

とはいえ、第三者から見てわかりやすいので、

1701091.jpg

「眼鏡店の店長としてどうよ?」と思う部分もあるのであります。





  1. 2017/01/09(月) 23:46:58|
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不自由がない

昨日、メガネの替え時として「不自由を感じたら」、という話をしました。

これについて、少し補足しておきます。

「不自由がない」のであれば、「度の合っていないメガネ」を掛けつづけても問題はないのか、という疑問が出てくると思います。
無論、度が合っているほうが、視機能の保護の観点からは好ましいとは思います。

ですが、こんなケースはどうでしょう。

6~7年前にあつらえた近用鏡をご使用のお客様がいたとします。
特に不自由はないけれど、だいぶ年数も経っているし、もし度が変わっているのなら買い替えてもいいかな、ということで検査をしました。

現在眼鏡度数
右 S+2.50
左 S+3.50

読書距離を考慮した推奨度数
右 S+3.75
左 S+4.00

となったとします。

当然、近くの文字の見やすさは実感できますので、これで新調したとしたらどうなるか。
もちろん、これでうまくおさまれば、それに越したことはないのですが、現在眼鏡で不自由がない理由を考えていくと・・・

納品数日後、「近くは見えるけれど、テレビが全く見えない」という訴えがくる可能性がゼロではありません。

このかたは、ここしばらくは右眼で多少離れたところが見えていて、左眼で近くのものを見ていたわけです。
それが、左右のバランスを取ってしまったために、両眼とも近くの文字が見えるようになってしまい、今まで右眼で見えていたものがボケてしまうということです。

両眼視の観点から言えば、両眼のバランスを取ったほうがいいとは思います。
ですが、これまで不自由を感じていなかった人に、そんな理屈は通りません。
これまで見えていたものが見えないのですから。

そもそも、度数を決める段階(装用テスト)で、こういう状況になることは想定できますが、近くの見やすさに意識がいってしまうと、ふだんの生活シーンが抜けてしまうということはあるでしょう。
「実際に使ってみて気がついた」というパターンです。

仮に、装用テストの段階で気がつけば、遠近両用なり、中近両用なりをおすすめするという選択肢も出てきますが、「不自由がない」というかたには、かえって使いにくい場合もあると思います。

「不自由がない」=「主訴がない」状況では、おすすめしてもうまくいかない場合が少なくないということです。


一方、「不自由がない」と思っていても、適切な度数を装着することで「今まで気がつかなかった不自由さに気がついた」ということもあるとは思います。
たとえば、両眼視を考慮することで、立体感が得やすくなったとか、読書中に行を飛ばすことがなくなった、といったことはあり得ます。
あるいは、片眼の矯正視力が大きく低下していた、という気づきが得られることもあるかもしれません。
その場合、眼疾患の可能性は否定できないわけです。

自覚的な主訴はなかったけれど、検査をしていく上で「主訴の掘り起し」になった、といってもいいかと思います。


ですので、「不自由がない」からといって「度数をチェックする必要がない」と申し上げているのではないという点、誤解のないようにお願いします。
「不自由がないので新調しない」というのと、「度数が変わっていることはわかったけれど、特に不自由はないので、今回は新調しない」というのとでは、ちょっと意味合いが違うと思います。



  1. 2016/12/26(月) 23:50:20|
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メガネの替えどき

「メガネの寿命は?」
「メガネは何年くらいで買い替えたらいいの?」
などというご質問を、たまにいただきます。

どんな時に、買い替えることが多いかと考えてみますと、

1、度が合わない、使い勝手が悪い
2、レンズのコートハゲやキズによる見にくさ
3、フレームのメッキハゲや変形・破損
4、フレームに飽きてきた

などといったことが挙げられるかと思います。


人によっては、レンズが傷だらけだったり、クリングス(鼻パッドの土台)が片方折れて無くなっていても、気にせず使っていることもありますし、10年以上使われているかたも少なくないでしょう。

価値観は人それぞれですが、私は「フレームに飽きてしまったというような、おしゃれ的な側面を除けば、不自由を感じるようになった時が替え時では」と伝えることが多いです。



全然関係ないですが、今日のネクタイはサンタ柄でした。

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  1. 2016/12/25(日) 23:56:14|
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